解説




高砂(たかさご)

 有名な結婚式の祝言。各務原市の木でもある松の神がめでたい世の中の到来をことほぎます。会場全員で謡い、新型コロナによって分断されていがみ合う国家を超え、世界が一つになれるよう祈りたい。

文政騒動(ぶんせいそうどう)

 文政12(1829)年、各務原市蘇原を舞台にした文政更木騒動(江戸時代唯一完全に成功した農民一揆)を基にした現代新作能。庄屋の二代目安積清右衛門は、代官所の求める御用金を断り、窮地に立ちましたが、孤独と苦悩の中で活路を開いていきます。悪魔の誘惑と脅迫、恐怖と葛藤を哲学的思索によって克服していきます。その支えはお獅子様の「志」ですが、それは、混迷の21世紀を生き抜く、私たちの大きな力ともなるはずです。

蘇原獅子(そはらじし)

 各務原市蘇原に伝わる「お獅子様」の故事を基にした現代新作能。延宝3(1675)年。村はずれの一本松の上に異形の方が留まっておられました。初代の安積清右衛門が、礼を尽くして遇されると、その方は雷鳴とともに降臨されました。それはお獅子の姿をされた志士でした。遠く聖徳太子や蘇我石川麻呂、そして、村国男依、鏡久綱、飯沼喜入八、飯沼勘平という郷土の偉人と深い繋がりのかる方でした。時に武運つたなく零落しながらも、常に高い志(こころざし)を抱いてこられた方でした。村人に誘われ、やがてこの地で神となられ、今日の私たちを見守っていてくださいます。